【日本全国】陶磁器 主要生産地一覧と地図 〇〇焼の特徴や生産地、都道府県など。

 

日本全国の主要な陶磁器生産地の一覧です。久谷や唐津、伊万里、信楽、美濃、瀬戸など、一度は聞いたことのある陶磁器生産地から、知る人ぞ知る生産地まで、地図へのプロットと都道府県別の一覧、一行解説を掲載しています。

 

【日本全国】陶磁器 主要生産地一覧と地図 〇〇焼の特徴や生産地、都道府県など。

日本全国陶磁器主要生産地一覧プロット地図
日本全国陶磁器主要生産地一覧プロット地図

 

下記、各地方別、都道府県別の〇〇焼の名称と地域、特徴や成り立ちなどの一言解説の一覧です。

 

北海道・東北地方

 – 北海道
流氷焼
(常呂町)
流氷をモチーフにした白い化粧土が特徴的で、化粧土に地元のホタテ貝を使用している。
 – 岩手県
小久慈焼
(久慈市)
鉄分の少ない粘土を使用するため白色がきれいに出る。藁灰の白釉、砂鉄を使った飴釉があり、注ぎ口の長い片口が代表的。
 – 宮城県
堤焼
(仙台市)
白黒のなまこ釉を同時にかける、流し掛けなまこ釉が特徴。表面に斑が発色し、斑紋や流紋が浮き出る。
 – 秋田県
楢岡焼
(大仙市南外)
群青色の海鼠釉が知られる。鮮やかな青色~紺色の釉薬と、茶褐色の土のコントラストを活かした造形が多くみられる。
 – 山形県
平清水焼
(山形市平清水)
千歳山の土を用いるため、千歳焼とも呼ばれる。梨の肌に似た水色の斑点が生じる「梨青瓷」や、白色釉薬に黒色斑点が浮かぶ「残雪」などが有名。
 – 福島県
会津本郷焼
(会津美里町)
関東以北で、陶石を原料に使う唯一の磁器山地。磁器も陶器も作られる。飴釉を使った鰊鉢が代表的。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
大堀相馬焼
(浪江町大堀)
釉薬に生ずるひびを黒く塗りこむ意匠や、馬のデザイン、外側と内側を別に作り、重ねる事で空洞を持たせる二重焼が特徴。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
楢岡焼
楢岡焼

関東地方

 – 茨城県
笠間焼
(笠間市)
関東ローム層から出る笠間土を使用。自由な作陶を求めて各地から陶芸家があるまり、伝統にこだわらない多様な作品が多い。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 栃木県
益子焼
(芳賀郡益子町)
砂気が多くゴロゴロとした土を用いる。重く割れやすい。黒、柿、飴釉、鉄釉などを用いる。杓掛け、流し掛け、掻き落としの技法を用い、模様を付けた皿が有名。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
小砂焼
(那須郡那珂川町)
水戸藩御用として小砂の陶土が使用されたのが始まり。金色~赤色の金結晶が有名。素朴な作りにもかかわらず、煌びやかな印象を持つ。
益子焼の湯呑
益子焼の湯呑
笠間焼の登り窯
笠間焼の登り窯

北陸・中部地方

 – 新潟県
無名異焼
(佐渡市)
酸化鉄を多く含む赤土を用いた焼き物。絹目に通した粘土を使用するため、きめ細かで固く焼しめられている。光沢を持ちたたくと金属音がなる。
 – 長野県
高遠焼
(上伊那郡高遠町)
高遠城築城のために美濃から陶芸家を呼んだのが始まり。赤土に白と緑などの釉薬を二重掛けするのが特徴。
 – 石川県
九谷焼
(金沢市)
色絵の磁器。緑、黄色、赤などの鮮やかな色合いの五彩手(通称「九谷五彩」)が特徴的で。江戸時代初期の古九谷と、江戸時代後期以降の再興久谷がある。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
大樋焼
(金沢市)
350年の伝統をもつ楽焼の脇窯。手びねりでの造形と独特の飴色が特徴。素朴な風合いを持つ。
珠洲焼
(珠洲市)
12世紀後半~15世紀後半に生産された中世の陶器。400年前にその姿を消しているが、1976年珠洲市により復興されている。
 – 福井県
越前焼
(丹生郡越前町)
六古窯の一つ。鉄分の多い土を使用し、地肌の色は黒色から赤褐色まで変化する。黄~緑に近い自然釉が特徴である。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 岐阜県
美濃焼
(可児市久々利柿下入会)
日本の陶磁器生産シェア50%以上の産地で、緑の織部、白の志野、黄瀬戸、瀬戸黒などが代表的。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 静岡県
志戸呂焼
(島田市金谷)
遠州七窯の一つ。室町時代から続く産地。茶器に好まれ現在も茶壷が中心。黄色釉や黒色釉を使用する。
 – 愛知県
瀬戸焼
(瀬戸市)
六古窯の一つ。瀬戸物の名となった地名。5世紀後半からの歴史を持つ。明治時代には美麗な輸出用製品が生産された。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
常滑焼
(常滑市)
六古窯の一つ。釉薬をかけず自然釉・焼しめの炻器。壺や瓷の作陶が多い。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 三重県
伊賀焼
(伊賀市)
周辺の陶土や薪を使用して焼かれた。すり鉢や甕や壺の作陶が多い。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
四日市萬古焼
(四日市市)
ペタライトという鉱石を使用した耐熱性の高い陶器。急須や土鍋が有名で土鍋のシェアは80%を超える。豚の形の蚊取り線香置きでも有名。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
九谷焼の香炉
九谷焼の香炉
大樋焼
大樋焼
美濃焼のカップ
美濃焼のカップ
常滑焼の急須
常滑焼の急須
四日市萬古焼、豚の蚊取り線香置き
四日市萬古焼、豚の蚊取り線香置き

関西地方

 – 滋賀県
信楽焼
(甲賀市信楽)
六古窯の一つ。水簸しない土を用い、粗い粒子の砂などが含まれることが多い。絵付けをしないため釉薬や素地の模様付けが多様。たぬきの置物が有名。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
膳所焼
(大津市)
遠州七窯の一つ。茶の湯に用いる器が名高い。黒色の鉄釉が特徴。江戸初期に一度衰退したが20世紀初頭より復興されている。
 – 京都府
京焼
(京都市)
京都東山を中心に焼かれる陶磁器。精緻な絵付けや細工が特徴。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
楽焼
(京都市)
手捏ねで低温焼成の陶器。京都田中(楽)家で作られる陶器。広義には同様の手法の陶磁器全体を指す。
清水焼
(京都市)
清水寺の参道、五条坂近辺で焼かれる陶磁器。京焼と同列、またはその一翼とされることが多い。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
朝日焼
(宇治市)
遠州七窯の一つ。茶の湯向けの陶器。鉄分を含んだ土を使い、肌に独特の赤い斑点がある。
 – 兵庫県
丹波立杭焼
(篠山市今田)
六古窯の一つ。釉薬を用いず、焼しめ・自然釉が特徴の陶器。主に生活用器を作ってきた。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
明石焼
(明石市)
明石市で焼かれた陶磁器。主に生活雑器が焼かれた。
出石焼
(豊岡市出石)
白磁を中心とした磁器。透き通る真っ白い地肌に彫りで模様や絵をつけるのが特徴。全国唯一の磁器のみの公募展が行われている。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 奈良県
赤膚焼
(大和郡山市)
遠州七窯の一つ。赤みのある地肌に乳白色の萩釉を掛ける。奈良絵と呼ばれる絵付けが特徴。
 – 和歌山県
瑞芝焼
(和歌山市)
「瑞芝」の通り鮮やかな緑色が特色。紀州藩の御用窯。
信楽焼の皿
信楽焼の皿
京焼
京焼

中国・四国地方

 – 広島県
宮島焼
(廿日市市)
宮島の対岸で焼かれる陶器。派手さはなく素朴で落ち着いた印象の器が多い。もみじなど宮島に所縁のあるモチーフが多い。
 – 鳥取県
因久山焼
(八頭郡八頭町)
鳥取藩主より因久山(因幡国久能寺)の窯名を賜る。茶器が多い。細工は施さず釉薬を大胆に流し掛けた作例が多い。
 – 島根県
石見焼
(江津市)
古くから窯業が盛んで、飯銅と呼ばれる大甕が有名。近年多様なニーズと時代の変化に沿って日用品も多く焼く。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
布志名焼
(松江市玉湯町)
江戸時代中期から焼かれる焼き物。黄釉色絵物が有名。近年、スリップウェアの技法を取り入れ、洋風でオシャレなデザインのものも多い。
 – 岡山県
備前焼
(備前市)
六古窯の一つ。釉薬を一切使わず、固く焼しめた赤い地肌が特徴。日用品など多く生産されている。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
虫明焼
(瀬戸内市)
天然の松木を焼いた灰を釉薬に用い、落ち着いた赤や黄、青などの色味が特徴。
 – 山口県
萩焼
(萩市)
「一楽二萩三唐津」に数えられるほど茶の湯に重宝された焼き物。「貫入」とそれによる「七化け」が特徴。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 香川県
理平焼
(高松市)
「高松焼」とも。やや紫がかった乳白色の地肌のものが多く、京焼の蒔絵技法を用いた作陶もみられる。
 – 高知県
内原野焼
(安芸市)
日用品を多く焼き、藁灰などを原料とする釉薬を使った素朴さが特徴。昭和初期以降衰退するも、昭和40年から復興。
 – 徳島県
大谷焼
(鳴門市大麻町)
人が悠々と入れるほどの大甕の産地。一人が横になって足でろくろを回す寝轆轤で作られる。近年、需要に伴い日用品の作例が増える。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 愛媛県
砥部焼
(砥部町)
白磁に呉須で図案の入ったデザインが多い。食器、花器など。頑丈で割れにくいことから、夫婦喧嘩で投げつけても割れない「喧嘩器」の別名を持つ。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
備前焼のコーヒーカップ
備前焼のコーヒーカップ
萩焼の急須
萩焼の急須
砥部焼
砥部焼

九州地方

 – 福岡県
上野焼
(田川郡香春町)
遠州七窯の一つ。生地が薄く軽量。釉薬も非常に多く重ね掛けや窯変が特徴。絵付けはない。茶人に好まれた。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
小石原焼
(朝倉郡東峰村)
主に生活雑器を焼く。成型時に轆轤で回しながら小手や刷毛で幾何学模様を入れるのが特徴。刷毛目や飛鉋、櫛描きなど。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
高取焼
(福岡市早良区)
遠州七窯の一つ。時代により豪胆から繊細へとその作風を変えている。釉薬は多く、且つ個性的な釉が多い。
 – 佐賀県
唐津焼
(唐津市)
唐津物の名の元となった地名。高温で焼しめ素朴且つ渋みがある。茶器として重宝される。渋い絵付けや斑など種類がある。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
有田焼
(有田町)
伊万里、有田を中心に焼かれた肥前磁器の総称。色絵磁器の古九谷様式、白磁に絵画的文様の柿右衛門様式、素地に赤・金を多様した絵付けの古伊万里金襴手様式など。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 長崎県
波佐見焼
(波佐見町)
江戸時代から大衆向け食器を多量に焼いており、今日でも日用食器の生産が盛ん。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
三川内焼
(佐世保市)
別名「平戸焼」。唐子絵の絵付け、模様を彫り抜いた透かし彫り、粘土を筆で置き模様を浮かび上がらせる置上、光を通すほど薄い卵殻手などがある。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 熊本県
小代焼
(荒尾市)
「小岱焼」とも表記。粗い粘土と茶褐色の釉薬、藁灰釉など白色の釉薬をかけ流すのが特徴。豪快、大胆、自由な作風。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
天草陶磁器
(天草市)
天草地方の陶磁器の総称で、高間焼、水野平焼き、丸尾焼、内田皿山焼の4つが主な生産地。この地方で算出される天草陶石が日本産出陶石の8割を占める。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
高田焼
(八代市)
一見青磁に見える陶器。陶器には珍しく象嵌を施している。白土での象嵌が主流だったが、近年彩色象嵌を開発している。
 – 大分県
小鹿田焼
(日田市源栄町皿山)
山を一つ隔てた福岡県の小石原焼の流れを汲み、飛鉋や刷毛目、櫛描きなどが特徴。
 – 鹿児島県
薩摩焼
(日置市)
樫野系、龍門司系、苗代川系がある。白土を使い金や赤、緑など華美な絵付けを行った白薩摩と、鉄分の多い土で焼いた大衆向けの黒薩摩がある。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
 – 沖縄県
壺屋焼
(那覇市壺屋)
南蛮焼の系統の荒焼と大陸系の絵付けもの上焼がある。荒焼は釉薬なし焼しめでシーサーなどが代表。上焼は白化粧に絵付け焼成し、泡盛酒器などに用いられる。(経済産業大臣指定伝統的工芸品)
小石原焼 刷毛目の皿
小石原焼 刷毛目の皿
唐津焼
唐津焼
有田焼 古伊万里金襴手様式
有田焼 古伊万里金襴手様式
小鹿田焼 飛鉋
小鹿田焼 飛鉋
薩摩焼 黒薩摩の「くろじょか(酒器)」
薩摩焼 黒薩摩の「くろじょか(酒器)」
壺屋焼 荒焼のシーサー
壺屋焼 荒焼のシーサー
壺屋焼 上焼の泡盛酒器
壺屋焼 上焼の泡盛酒器
日本全国陶磁器主要生産地一覧プロット地図
日本全国陶磁器主要生産地一覧プロット地図