静岡県の地理・地形:富士山や南アルプスの雄姿、伊豆半島と相模湾の激浪が交差する大地
静岡県は本州のほぼ中央に位置し、南は遠州灘と駿河湾を望む太平洋に面し、北には長野県と山梨県の山岳地帯が広がっている。
東は神奈川県、西は愛知県と接しており、その東西幅は約155km、南北幅は約118kmと広大なエリアを誇る。
静岡県は多彩な地形を持ち、富士山や伊豆半島、南アルプスの山々、そして幾つもの川が流れる県として知られている。
静岡県の地理・地形:富士山や南アルプスの雄姿、伊豆半島と相模湾の激浪が交差する大地
静岡県全域の地形的特徴
南部の海岸線と湾
静岡県は南側に広がる太平洋に面しており、海岸線は多様な地形を見せている。
西側には遠州灘、南中部には御前崎、そして東側には駿河湾が広がる。
駿河湾は静岡市から伊豆半島にかけて広がり、湾の深さが日本一である。
駿河湾の東端には伊豆半島が突き出しており、その先端には石廊崎(いろうざき)が位置する。
ここからさらに東に進むと相模灘へと続く。
駿河湾の西側には、富士山を背景に広がる日本三大松原のひとつ「三保の松原」があり、海岸線と富士山の美しい景観を楽しむことができる。
また、御前崎は静岡県のほぼ中央に位置し、その先端には御前崎灯台が立ち、太平洋を一望する絶好の展望地となっている。
北部の山岳地帯と富士山
静岡県の北部には、南アルプス(赤石山脈)の壮大な山々がそびえる。
山梨県との境界には、間ノ岳(あいのだけ)をはじめとする3000m級の山々が連なる。間ノ岳の南には塩見岳(しおみだけ)、赤石岳(あかしだけ)、そして最南端には光岳(てかりだけ)がそびえる。
光岳は、日本最南端の標高2500m以上の山として知られている。
東部には日本最高峰である富士山がそびえ、その雄大な姿は静岡県のシンボルとも言える。
富士山は静岡県と山梨県にまたがっており、静岡県側からは南側の裾野を一望できる。
富士山は、その標高3776mの高さと美しい円錐形の山容で、世界遺産にも登録されている。
さらに、伊豆半島には天城山(あまぎさん)がそびえ、その南側は温泉地としても有名だ。
天城山は伊豆半島を南北に走る山脈で、伊豆の中央部に位置している。
天城山は、温暖な気候と相まって多くの植生が見られ、ハイキングや観光の名所となっている。
静岡県を流れる主要な河川とその流域
静岡県には、県内を流れる6本の一級河川があり、それぞれが独特の地形を形成している。これらの河川は、南アルプスから流れ出る急流から、緩やかに流れる川まで多様であり、豊かな水資源を支えている。
狩野川と清流・柿田川
狩野川(かのがわ)は、伊豆半島の天城山を源流とし、伊豆半島を北へ縦断した後、沼津市で西に流れを変え、駿河湾に注ぐ川である。
狩野川の支流である柿田川(かきたがわ)は、長さわずか1.2kmの日本最短の一級河川で、その透明度と美しさから日本三大清流の一つに数えられている。
狩野川の流域では、清流を利用したわさびの栽培が盛んで、全国でもトップクラスの生産量を誇る。
特に、天城山周辺の湧水は品質の良さで知られており、わさびの名産地として有名だ。
富士川とその急流
富士川(ふじかわ)は、山梨県と長野県の境に位置する鋸岳(のこぎりだけ)を源流とし、長野県と山梨県を流れた後、富士市と静岡市の境で駿河湾に注ぐ。
この川は日本三大急流の一つとして知られており、その激しい流れは、古くから舟運の難所とされた。
現在でもラフティングなどのアウトドアアクティビティの場として利用されている。
安倍川と日本三大崩の「大谷崩れ」
安倍川(あべかわ)は、静岡市を貫流する河川で、その源流は静岡県と山梨県の境にある大谷嶺(おおやみね)付近にある。
大谷嶺の斜面には「大谷崩れ(おおやくずれ)」という大規模な地すべりがあり、これが「日本三大崩」の一つに数えられている。
安倍川は静岡平野を通り、静岡市の西側を流れて駿河湾に注ぐ。
大井川とその名所
大井川(おおいがわ)は、南アルプス南部の間ノ岳を源流とし、静岡県を南へ流れ、榛原郡川根本町を経て藤枝市、焼津市を通り、駿河湾に注ぐ。
この川は、大井川鐵道のSL列車が走ることで知られ、沿線には寸又峡(すまたきょう)や長い木橋として有名な蓬莱橋(ほうらいばし)など、多くの観光スポットが点在している。
大井川の水は、周辺地域の農業用水としても利用されており、生活に欠かせない存在だ。
菊川と天竜川
菊川(きくがわ)は、静岡県掛川市の粟ヶ岳(あわがたけ)を源流とし、南に流れて遠州灘に注ぐ川である。
一方、天竜川(てんりゅうがわ)は長野県の諏訪湖を源流とし、長野県、愛知県、静岡県を貫流して遠州灘に注ぐ。
天竜川の下流には、浜松市と磐田市の間に三方原が広がっており、この地域は農業地帯として発展している。
静岡県の平野と盆地
静岡県には、駿河湾に面した静岡平野をはじめ、いくつかの平野や盆地が広がっている。
静岡平野は、安倍川、大井川、菊川などの川が形成した沖積平野で、農業や商業が発展している地域である。
浜松市周辺には三方原が広がり、ここも農業が盛んな地域である。
三方原の西には日本で10番目に大きな湖である浜名湖がある。
浜名湖は汽水湖で生物多様性に恵まれ、天然魚の水揚げに加えて、ウナギ、カキ、ノリなどの養殖も盛んである。
また、伊豆半島には小さな平野や谷が点在し、天城山を中心に多くの温泉地が広がっている。
伊豆の温泉は、観光資源としても重要で、多くの観光客が訪れるスポットとなっている。
まとめ
静岡県は、南の海岸線から北の山岳地帯まで、多様な地形が広がる地域である。
富士山をはじめとする名峰や清流、海岸線の絶景、そして温泉地など、自然が豊かで魅力的なエリアが点在している。
関連項目:中部地方・北陸地方の地理・地形・地図