山口県の地理・地形:海が削り山が描く。萩、カルスト台地、関門海峡と周防灘の島々

 

山口県の地理・地形:海が削り山が描く。萩、カルスト台地、関門海峡と周防灘の島々

山口県は本州の最西端に位置し、周囲を三方の海に囲まれた地形が特徴的である。

南側には瀬戸内海、北には日本海、そして西には響灘が広がり、東は広島県や島根県と接している。

県内には多様な自然景観が広がり、海岸線や半島、山々が連なり、独特の地形が形成されている。

この記事では、山口県全域の地理と地形的な特徴を詳しく紹介する。

 

山口県の地理・地形:海が削り山が描く。萩、カルスト台地、関門海峡と周防灘の島々

 

山口県の地理・地形・地図
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山口県全域の地形的特徴

日本海側の海岸線と特徴的な地形

山口県の北部は日本海に面しており、変化に富んだ海岸線が続く。

島根県境に近い部分には、高山岬須佐湾モドロ岬など、入り組んだ湾と突き出た岬が点在する。

これらの地形は、海食崖や海食台、洞窟などが見られるリアス式海岸の特徴を持ち、景観的にも非常に魅力的だ。

須佐湾沿岸には「須佐ホルンフェルス」という独特の地質が広がり、断層と風化によって黒と白の縞模様が美しい自然のアートを形成している。

須佐ホルンフェルス
須佐ホルンフェルス

さらに西に向かうと、青海島(おうみじま)が位置している。

この島は、「海上アルプス」とも呼ばれる独特の地形を持ち、断崖絶壁や奇岩が連続する。

青海島の海上アルプス
青海島の海上アルプス

青海島の西側には向津具半島(むかつくはんとう)が広がり、そこからさらに西に進むと、川尻岬油谷湾(ゆやわん)といった自然景観が見られる。

油谷湾から海岸線は南下し、神田岬を経て響灘へと至る。

 

瀬戸内海側の島々と湾

響灘沿岸を南下すると、下関半島に達し、関門海峡を抜けて瀬戸内海へと入る。

下関市
下関市

山口県の南側は瀬戸内海に面しており、海域には多数の島々が点在している。

西部から東部にかけて、山口湾、大海湾徳山湾笠戸湾などがあり、これらの湾には笠戸島長島平郡島(へいぐんとう)、屋代島(周防大島)などの島々が連なる。

これらの島々は、周防灘伊予灘の穏やかな海に浮かび、自然景観と人々の暮らしが調和した地域である。

 

屋代島(周防大島)は、特に大きな島で、橋を通じて本州とつながっている。

瀬戸内海に浮かぶこの島々は、風光明媚な景観を誇り、多くの観光客が訪れる。

また、沿岸部には多くの漁港があり、新鮮な海産物を提供する漁業が盛んに行われている。

 

山岳地帯とカルスト台地

山口県の中央部には中国山地が広がり、山々が連なる。

代表的な山岳地帯としては、島根県との県境にある青野山平家ヶ岳冠山などが挙げられる。

特に冠山近くの寂地山(じゃくちさん)は、標高1,339メートルで山口県の最高地点となっている。

また、県やや西部の内陸には秋吉台(あきよしだい)という日本最大のカルスト台地が広がっている。

秋吉台は、石灰岩が浸食されてできた広大な石灰岩地形で、無数のドリーネや鍾乳洞が点在している。

その中でも、秋芳洞(あきよしどう)は日本最大級の鍾乳洞として有名で、多くの観光客を惹きつけている。

このカルスト台地は、地下水の浸透によって形作られた独特の地形と生態系を持ち、地質学的にも非常に貴重である。

秋吉台 カルスト台地
秋吉台 カルスト台地

 

 

山口県を流れる主要な河川とその流域

佐波川と小瀬川

山口県には、2本の一級河川が流れている。

佐波川(さばがわ)は島根県境近くの三ヶ峰を源流とし、南西に向かって流れ、防府市を抜けて周防灘の大海湾に流れ込む川である。

佐波川の流域には、山口盆地が広がり、農業地帯としての役割を果たしている。

小瀬川(おぜがわ)は、広島県と山口県の県境を形成する川であり、源流は広島県内にある。

ごく一部を除いてほぼ全域が県境をなすため、広島県と山口県の分水界としての役割を持っている。

 

厚東川と椹野川

山口県西部には、厚東川(ことうがわ)が流れている。

この川は美祢市北部の桂木山を源流とし、秋吉台の中央を南に向かって流れる。

途中でいくつかの支流を合流させながら、宇部市を通り、周防灘に注ぐ。

宇部市 常盤公園
宇部市 常盤公園

厚東川は秋吉台の石灰岩地形を潤す清流として知られ、その水は農業や生活用水としても利用されている。

椹野川(ふしのがわ)は、山口市宮野上の坂堂峠付近を源流とし、山口市を貫流している。

山口盆地を通過した後、山口湾から周防灘へと流れ出ている。

この川は山口市の主要な水源であり、その流域には多くの農地が広がっている。

 

錦川と錦帯橋

錦川(にしきがわ)は山口県北東部の山地に源を発し、やや蛇行しながら東に流れている。

河口付近の岩国市では、日本三名橋のひとつとされる「錦帯橋(きんたいきょう)」が架かっている。

錦帯橋は、木造のアーチ型橋として有名で、観光名所として多くの人々が訪れる。

錦川は広島湾に注ぎ、山口県内では最大の川である。

錦川にかかる錦帯橋 岩国市
錦川にかかる錦帯橋 岩国市

 

阿武川と萩市

山口県の日本海側には、阿武川(あぶがわ)が流れている。

源流は島根県県境にあり西流、青海島の東側で日本海へと流れ出る。

阿武川の河口には萩市が位置しており、江戸時代の城下町の面影を残す街並みが広がっている。

阿武川は、この地域の農業用水や飲料水の供給源としても重要な役割を果たしている。

萩市
萩市

まとめ

山口県は本州の最西端に位置し、三方を海に囲まれた多様な自然景観が特徴的である。

日本海、瀬戸内海、響灘に面した海岸線や、秋吉台のカルスト台地、山岳地帯の美しい景観が広がる。

そして、錦帯橋や秋芳洞などの観光名所も多く、自然と歴史、文化が調和した魅力的なエリアとなっている。

山口県の地理・地形は、多様性に富み、それぞれの地域が異なる特色を持っているのが大きな魅力だ。

 

関連項目:中国地方の地理・地形・地図

 

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