ヘリテージング100選は、「なつかしい」「めずらしい」「うつくしい」という観光的価値から選出された明治維新~昭和初期の近代遺産100選です。
脱亜入欧を目指し積極的に取り入れられた煉瓦造り、ルネッサンス様式など、洋風建築と日本古来の書院造などの建築様式が融合した和洋折衷の建築と、当時の造形美を残す土木遺産。
ヘリテージング100選を地図にプロットし、各近代遺産について一言解説を掲載しました。
地図の大きさの観点から、全国2分割とした「西日本編」です。
北・東日本は、北・東日本編へ記載されています。
【西日本編】ヘリテージング100選 明治維新~昭和初期の近代遺産マップ。地図2分割
関西地方
– 三重県 | ||
伊勢大橋 (桑名市) |
長良川、揖斐川を渡る国道1号の橋。橋の中ほどに中州である千本松原上を走る道路と接続する丁字路がある。 | |
六華苑(旧諸戸清六邸) (桑名市) |
洋館、和館、蔵、日本庭園など。洋館はヴィクトリア朝住宅様式を基調とした外観。内装は和洋折衷。(重文) | |
– 滋賀県 | ||
近江鉄道電気機関車群と鳥居本駅 (彦根市) |
滋賀県下最古の私鉄。鳥居本駅駅舎は1931年開設。 | |
– 京都府 | ||
舞鶴・赤れんが倉庫群 (舞鶴市) |
明治から大正期にかけて作られた旧舞鶴海軍軍需部本部地区にある12棟の赤レンガ造倉庫。 | |
琵琶湖疏水施設群 (京都市左京区、山科区、東山区) |
1890年開通の疎水。水路閣、蹴上インクライン、旧九条山浄水場ポンプ室など。 | |
– 大阪府 | ||
南海本線浜寺公園駅 (堺市西区) |
1907年建設の木造平屋建て旧駅舎。2016年使用終了当時、現役最古の私鉄駅舎だった。 | |
大阪市・中之島界隈 (大阪市北区、西区、中央区) |
大阪市中央公会堂、大阪府立中之島図書館、日本基督教団大阪教会、浪花教会、綿業会館本館、大阪倶楽部など(一部重文) | |
泉布観 (大阪市北区) |
大阪府に現存する最古の洋風建築。1971年建設、旧造営局応接所。(重文) | |
– 兵庫県 | ||
余部鉄橋 (香美町) |
1912年開通の旧鉄橋。鋼製トレッスル橋で高さ41.45m、全長310m。現在その一部を展望施設として保存。 | |
神戸旧居留地 (神戸市中央区) |
旧居留地十五番館、旧居留地38番館、神戸市立博物館、商船三井ビル、チャータードビル、神港ビル、海岸ビルなど(一部重文) | |
– 奈良県 | ||
日本聖公会奈良基督教会礼拝堂 (奈良市) |
1930年建設の純和風教会。昭和5年の建設当時、奈良公園地区の景観規制のため純和風に。(重文) | |
JR旧奈良駅舎 (奈良市) |
奈良駅の2代目駅舎。1934年完成の寺院風の和洋折衷様式。18m移動して保存されている。 | |
奈良ホテル (奈良市) |
1909年開業のホテル。壁面が白漆喰仕上げの木造2階建て瓦葺き建築。内装は、桃山風とドイツ風が混在する和洋折衷様式。 | |
奈良国立博物館 (奈良市) |
1894年竣工の旧本館は明治期を代表する洋風建築。仏教美術資料研究センターは1902稔竣工の木造桟瓦葺木造建築。(旧本館が重文) | |
– 和歌山県 | ||
旧和歌山県会議事堂(一乗閣) (岩出市) |
1896年竣工、木造入母屋造2階建。旧県議会議事堂。2016年移築復元。 |
鳥居本駅(滋賀県彦根市)
中国・四国地方
– 鳥取県 | ||
仁風閣 (鳥取市) |
中国地方を代表する明治期洋風建築。1907年竣工木造2階建て。白亜の壁のフレンチルネッサンス様式。(重文) | |
– 島根県 | ||
旧大社駅 (出雲市) |
1912年開業の旧大社駅。現在は廃線・廃駅だが純和風駅舎が残されている。保存修理工事中。(21年12月現在)(重文) | |
興雲閣 (松江市) |
1903年明治天皇行幸時の御宿所として建設された迎賓館。地上2階建て、入母屋造瓦葺の擬洋風建築。 | |
– 岡山県 | ||
倉敷市・美観地区 (倉敷市) |
1889年建設の倉敷アイビースクエア、旧大原家住宅、旧中国銀行倉敷本町出張所、大原美術館など | |
津山洋学資料館 (津山市) |
旧館は1920年建築の旧中国銀行津山東支店の建物。 | |
– 広島県 | ||
旧海軍施設群 (江田島市、呉市) |
幹部候補生学校庁舎、海上自衛隊呉地方総監部庁舎、旧呉鎮守府司令長官官舎(入船山記念館本館)など(一部重文) | |
– 山口県 | ||
山口県政資料館 (山口市) |
1916年完成の旧山口県庁舎、旧山口県議会議事堂の2棟。煉瓦造2階建て。(重文) | |
旧秋田商会ビル (下関市) |
1915年建設、RC造3階建て。外観と1階が洋風の事務所、2~3階は書院造のある和洋折衷。 | |
– 徳島県 | ||
脇町劇場・オデオン座 (美馬市) |
1934年建設の回り舞台や花道のあるレトロな劇場。 | |
徳島市水道局佐古配水場ポンプ場 (徳島市) |
1926年建設の煉瓦造のポンプ場。軽量鉄骨のトラスの小屋組みに一部漆喰仕上げの内装。外装はイギリス積みの煉瓦壁。 | |
– 香川県 | ||
豊稔池 (観音寺市) |
日本最古のマルチプルアーチダムによってできたダム湖。ダム本体は1930年竣工で、当時の石積みを残す。(一部重文) | |
– 愛媛県 | ||
別子銅山跡およびその関連施設 (新居浜市) |
旧水力発電所、芦谷川鉄橋、第四通洞など。東平地区は当時の遺構が多く残りその景観から「東洋のマチュピチュ」を称している。 | |
松山市内 (松山市) |
道後温泉本館、萬翠荘(愛媛県立美術館分館郷土美術館)、ロシア人墓地など。 | |
長浜大橋 (大洲市) |
肱川河口の道路橋。中央部を跳ね上げ開閉できる。1935年竣工。バスキュール式可動橋で現存する最古の道路開閉橋。 | |
– 高知県 | ||
一斗俵沈下橋 (四万十町) |
四万十川にかかる沈下橋。昭和10年製で四万十川にかかる沈下橋で最古。歩道橋。 |
山口県政資料館(山口県山口市)
一斗俵沈下橋(四万十町)
九州地方
– 福岡県 | ||
河内貯水池堰堤 (北九州市八幡東区) |
粗石モルタル製重量式コンクリートダム。高さ43m1927年竣工。日本製鉄保有の民間企業ダム。 | |
柳川市内 (柳川市) |
国の名勝「立花氏庭園」に建つ西洋風建築「西洋館立花家迎賓館」、赤レンガ造の味噌蔵「並倉」など。 | |
旧三池炭鉱関連施設群 (大牟田市) |
旧三井港倶楽部、旧三池炭鉱宮浦坑煙突、三井港閘門など。(一部重文) | |
門司港レトロ地区 (北九州市門司区) |
門司港駅、北九州市旧門司三井倶楽部、北九州市旧大阪商船など。(一部重文) | |
– 佐賀県 | ||
武雄温泉新館および楼門 (武雄市) |
1915年落成、桟瓦葺の翼屋のある竜宮門形式の楼門、地上2階建て入母屋造の新館。(重文) | |
旧筑後川橋りょう(筑後川昇開橋)および筑後川導流堤 (佐賀県佐賀市、福岡県大川市、福岡県柳川市) |
旧国鉄の鉄橋。福岡県大川市と佐賀県佐賀市を結ぶ。中央部が上昇する昇開橋。現在は歩道橋。1935年竣工(一部重文) | |
– 長崎県 | ||
端島(軍艦島) (長崎市) |
日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅のある海底炭鉱遺構。世界遺産。 | |
長崎市東・南山手地区 (長崎市) |
グラバー園、大浦天主堂、東山手洋風住宅群など。 | |
五島列島・平戸の天主堂群 (新上五島町、平戸市) |
青砂ヶ浦天主堂、田平天主堂、紐差天主堂など。(一部重文) | |
– 熊本県 | ||
旧国鉄宮原線コンクリートアーチ橋りょう群 (小国町) |
廣平橋りょう、菅迫橋りょう、幸野川橋りょうなど。 | |
三角西港 (宇城市) |
1887年開港。宇土半島西端にある築港。木造2階建の洋館や1902年建築の擬洋風建築建物など。世界遺産。(重文) | |
八代郡築の干拓施設 (八代市) |
八代市西部の海岸地区干拓施設の遺構。旧郡築新地甲号樋門郡築三番町樋門、郡築二番町樋門。(一部重文) | |
– 大分県 | ||
竹田市・農業水利施設群 (竹田市) |
白水溜池堰堤水利施設、明正井路一号幹線一号橋、若宮井路笹無田石拱橋、鏡石拱橋など。 | |
– 宮崎県 | ||
綱ノ瀬橋 (延岡市) |
1939年完成の鉄道橋でRC造の大アーチと無筋コンクリート造42連アーチで構成されている。現在は廃線。 | |
– 鹿児島県 | ||
曽木発電所遺構 (伊佐市) |
石組みと西洋居城風の煉瓦造の建物跡。ダム湖に沈んでおり、渇水期のみ煉瓦造りの遺構が見える。豪雨等で徐々に倒壊が進む。 | |
集成館事業施設群 (鹿児島市) |
旧集成館機械工場(尚古集成館本館)、旧鹿児島紡績所技師館(異人館)、旧吉野植林所事務所(磯工芸館)など。(一部重文) | |
– 沖縄県 | ||
樋川(ヒージャー) (南城市、那覇市) |
大正期に、湧水に琉球石灰岩で樋などを整備した石造井泉施設群。仲村渠樋川、垣花樋川、宝口樋川など。(一部重文) |
幸野川橋梁(熊本県小国町)
綱ノ瀬橋梁(宮崎県延岡市-日之影町)
ヘリテージング100選
ヘリテージング100選とは、毎日新聞社が創刊135年を記念して行った周年事業。100件の近代遺産がヘリテージング100選として選定された。
ヘリテージングは、明治維新から昭和戦前までの間に造られた、近代遺産のすべてを観光の対象とする観光レジャーの一形態であり、建築・建造物の文化的価値や学術的価値とは別に、「なつかしい」「めずらしい」「うつくしい」という感動要素があじわえるかどうかという観光価値を重視している。
北・東日本は、北・東日本編へ記載されています。
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