島根県の観光地・名所・名刹・百選と地図:神話と歴史が息づく風景を歩く。出雲と石見銀山、隠岐。定番と穴場。

 

島根県の観光地・名所・名刹・百選と地図:神話と歴史が息づく風景を歩く。出雲と石見銀山、隠岐。定番と穴場。

 

古代神話と深く結びつく出雲の地にして、銀の煌めきが世界に名を馳せた石見の土地――島根県は、荘厳な神社、名湯、原始的な自然景観、文化的遺産が点在する、歴史と自然の宝庫である。

国の名勝や世界遺産、百景や百選、名城・名刹・温泉まで、多面的な魅力が凝縮されたこの地を、地図をもとにじっくり見ていこう。

 

島根県の観光地・名所・名刹・百選と地図:神話と歴史が息づく風景を歩く。出雲と石見銀山、隠岐。定番と穴場。

島根県の観光地・名所一覧・地図
島根県の観光地・名所一覧・地図

 

世界遺産・石見銀山遺跡とその文化的景観

島根県唯一の世界遺産として登録されているのが、「石見銀山遺跡とその文化的景観」である。

登録構成資産は14にのぼり、大森銀山をはじめ、代官所跡や矢筈城跡、石見城跡熊谷家住宅羅漢寺五百羅漢鞆ヶ浦道沖泊道といった交易路、さらには温泉津の町並みや港湾施設の跡も含まれている。

石見城跡
石見城跡
石見銀山五百羅漢
石見銀山五百羅漢

石見銀山は戦国時代から江戸時代にかけて世界的な銀産出地として知られ、当時の日本の銀がアジアやヨーロッパに広く流通した事実を今に伝えている。

町並みには武家屋敷や寺社が今なお残り、往時の文化や暮らしの様子が色濃く映し出されている。

石見銀山
石見銀山

特別天然記念物・国指定の名勝・日本百景に見る自然の威容

自然の奇跡とも呼べる景観も、島根県の魅力を形作っている。

大根島にある熔岩隧道は、火山活動により形成された洞窟群で、なかでも「幽鬼洞」と呼ばれる第一熔岩洞窟は、特別天然記念物として指定されている。

溶岩が流れる過程で生じた空洞が冷えて固まり、洞窟として残った地質学的にも貴重な空間である。

 

また、国指定の名勝には、隠岐諸島の断崖絶壁や海食崖を中心とする景勝地が多く含まれる。

隠岐の島町にある海苔田ノ鼻白島海岸布施海岸、西ノ島町の国賀海岸、知夫村の赤壁などは、いずれも日本海の荒波が削り出した海岸線の美しさを物語っている。

白島海岸(隠岐の島町)
白島海岸(隠岐の島町)
国賀海岸(西ノ島町)
国賀海岸(西ノ島町)

奥出雲町の鬼舌振や津和野町の青野山、江津市の千丈溪、松江市の潜戸、邑南町の断魚渓、出雲市の立久恵なども、国指定名勝に指定され、それぞれが独特の渓谷美や地質的特徴を持ち、四季折々の変化に富んだ風景を見せてくれる。

鬼舌振(奥出雲町)
鬼舌振(奥出雲町)
青野山(津和野町)
青野山(津和野町)
立久恵(出雲市)
立久恵(出雲市)

日本百景としては、中国地方随一の大河「江の川」(江川)と、夕日の美しさで名高い宍道湖が選ばれている。

特に宍道湖の湖畔から見る夕日は、水面に黄金色の光を映し出し、静謐で幻想的な時間が流れる。

宍道湖東部 嫁ヶ島
宍道湖東部 嫁ヶ島

渚百選・滝百選・名城・桜の名所でめぐる文化と自然

日本の渚百選に選ばれているのは、出雲市の稲佐の浜と浜田市の琴ヶ浜である。

稲佐の浜は、出雲大社の神事「神迎祭」の舞台としても知られ、神々が降り立つ聖なる浜である。

稲佐の浜(出雲市)
稲佐の浜(出雲市)

琴ヶ浜は、歩くとキュッキュッと音が鳴る「鳴き砂」の海岸として知られ、約2kmに渡って続く砂浜には、微細な石英粒が広がっている。

琴ヶ浜
琴ヶ浜

日本の滝百選には、隠岐の島町の壇鏡の滝と雲南市の龍頭八重滝が名を連ねている。

壇鏡の滝は、二筋の水が断崖を滑り落ちる双瀑で、神聖視されている場所でもある。

壇鏡の滝(隠岐の島町)
壇鏡の滝(隠岐の島町)

一方の龍頭八重滝は、文字通り8つの段に分かれて流れ落ちる滝で、新緑と紅葉の時期には格別の美しさを見せる。

龍頭八重滝(雲南市)
龍頭八重滝(雲南市)

城郭においては、松江市の松江城が国宝に指定される天守を持つ現存12天守のひとつであり、堀川に囲まれた典型的な平山城である。

松江城(松江市)
松江城(松江市)

安来市の月山富田城は山中鹿之助ゆかりの城として知られ、津和野町の津和野城は石垣が美しい山城である。

月山富田城(安来市)
津和野城(津和野町)
津和野城(津和野町)

浜田市の浜田城は続日本百名城に指定されており、江戸初期に築かれた城の遺構が今も残る。

 

桜の名所としては、松江市の松江城山公園と雲南市の斐伊川堤防桜並木が「日本さくら名所100選」に選ばれている。

松江城の本丸跡から見下ろす桜景色は壮麗であり、斐伊川沿いに咲き誇る桜並木は、全長2km以上に及ぶ圧巻の桜トンネルとして春の風物詩となっている。

松江城の桜
松江城の桜

古社寺・名刹と、島根の湯にひたる時間

島根県は、古来より神話の舞台とされてきた地であり、歴史ある神社や寺院が各地に点在する。

最も象徴的な存在が出雲市にある出雲大社である。

日本最古の歴史書『古事記』にも登場する大国主命を祀る神社で、縁結びの神として全国的に信仰を集める。

本殿に至るまでに石・鋼・鉄・銅の異なる材質で作られた四つの鳥居が立ち並び、古代信仰の世界観を感じさせる荘厳な空間が広がっている。

神門通り(出雲市)

太鼓谷稲成神社は津和野町にある朱塗りの千本鳥居が特徴的な神社で、五穀豊穣や商売繁盛の神として知られる。

朱の回廊をくぐりながら参拝するその体験は、視覚的にも強烈な印象を残す。

太鼓谷稲成神社
太鼓谷稲成神社

温泉地としては、1300年の歴史を持ち、美肌の湯として名高い玉造温泉がまず挙げられる。

奈良時代の『出雲国風土記』にも登場するほど古い記録を持つ名湯である。

玉造温泉
玉造温泉

温泉津温泉は、かつて石見銀山の発展を支えた湯治場であり、古き良き町並みと共同浴場が残る。

温泉津温泉
温泉津温泉

その他にも宍道湖温泉有福温泉美又温泉など、それぞれが異なる泉質と風情を持ち、観光と癒しの両方を楽しませてくれる。

 

また、安来市の足立美術館は、横山大観などの近代日本画と、北大路魯山人の陶芸を収蔵しつつ、なにより日本庭園の美しさで世界的な評価を受けている。

アメリカの日本庭園専門誌ランキングで20年連続1位に輝くなど、国内外からの注目を集める美術館である。

足立美術館
足立美術館

 


神話の時代から続く信仰の地であり、文化財に囲まれた歴史都市、そして自然の造形美がそこかしこに広がる島根県は、静かでありながらも深い感動を与えてくれる。

名勝や名刹、温泉、海と山に抱かれた地形に触れるたび、過去と現在が交錯する独自の時の流れを感じることができる。

観光という名の旅の中に、魂のふるさとを見つけたような気持ちになる地――それが島根である。

 

島根県の観光地・名所一覧・地図
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