栃木県の地理と地図:那須岳・日光連山・足尾山地の山岳、那珂川・渡良瀬川・鬼怒川に中禅寺湖が刻む関東北端の大地
栃木県は本州のほぼ中央に位置し、関東地方の北端にあたる。
群馬県・茨城県とともに「北関東地方」に分類され、南は埼玉県、西は群馬県、北は福島県、東は茨城県と接している。
海に面していない内陸県でありながら、豊かな山岳地帯と広大な平野を持つのが特徴だ。
県北部には那須岳や日光連山などの火山群がそびえ、温泉や名瀑を生み出している。
一方、南部には関東平野が広がり、都市や農地が発展している。
栃木県の地形や地理的特徴を、山岳、河川、平野・台地などの観点から詳しく解説する。
栃木県の地理と地図:那須岳・日光連山・足尾山地の山岳、那珂川・渡良瀬川・鬼怒川に中禅寺湖が刻む関東北端の大地

栃木県の山地と火山:険しさと豊かさを併せ持つ地形
那須岳・日光連山と足尾山地
栃木県北西部には標高2,000m級の山々が連なり、日本有数の火山地帯を形成している。
その代表格が那須岳と日光連山だ。
那須岳は、茶臼岳(1,915m)、朝日岳(1,896m)、三本槍岳(1,917m)を中心とした火山群で、現在も活発な噴気活動が見られる。
山麓には那須温泉郷が広がり、登山や観光で人気のエリアとなっている。

日光連山には、男体山(2,486m)、日光白根山(2,578m)、女峰山(2,483m)などがそびえる。
男体山は信仰の対象としても知られ、中禅寺湖の湖畔にそびえる姿は神秘的だ。
日光白根山は関東地方最高峰で、山頂からは関東平野を一望できる。
この山岳地帯の西部には足尾山地が広がる。
標高1,500m前後の山々が連なり、古くから銅の産地として栄えた足尾銅山がある。
鉱業の発展とともに環境問題も抱えた地域であり、現在は緑化が進められている。

八溝山地:東部を縁取る丘陵地帯
栃木県東部には八溝山地が広がり、福島・茨城との県境に八溝山(1,022m)がそびえる。
標高は比較的低いものの、深い谷と急峻な斜面が特徴で、県境部には清流が多く見られる。
栃木県の河川と湖沼:山々が育む水の流れ
那珂川・鬼怒川・渡良瀬川の3大河川
栃木県を流れる主要な河川は、那珂川、鬼怒川、渡良瀬川の3つの一級河川だ。
那珂川は、那須岳南麓を水源とし、県東部を貫流して茨城県を経て太平洋へ注ぐ。
県内では清流として知られ、アユ釣りが盛んに行われる。
鬼怒川は、日光白根山の西側に源を発し、栃木県を南流して茨城県へ抜け、利根川と合流する。
鬼怒川温泉や龍王峡などの景勝地が点在し、観光資源としても重要な存在だ。

渡良瀬川は群馬県を源流とし、栃木県南部を東流して埼玉県・群馬県・茨城県の県境に広がる渡良瀬遊水地へと流れ込む。
遊水地は日本最大級の湿地帯であり、自然環境保護の観点からも重要な地域となっている。
湖沼:火山活動が生んだ美しい水辺
県内には火山活動によって形成された湖が点在する。
その代表が中禅寺湖(11.62m)だ。
男体山の噴火によって川が堰き止められてできた堰止湖で、標高1,269mに位置する日本最高所の湖(人造湖を除く湖と名の付くもののうち)でもある。

湯ノ湖も火山活動による堰止湖で、戦場ヶ原の南端に位置する。
透明度が高く、夏は避暑地、冬はワカサギ釣りの名所となる。
中禅寺湖東端から500mほど下流には日本三名瀑「華厳の滝」がある。

また、県南部には谷中湖がある。
これは人工的に造成された湖で、渡良瀬遊水地の一部をなす。
広大な湿地帯の中にあるため、多様な動植物が生息している。
栃木県の平野と台地・丘陵地:関東平野の北端に広がる大地
関東平野北端に広がる農業地帯
栃木県南部から中央部にかけては、関東平野の一部が広がる。
宇都宮市、小山市、栃木市、佐野市などがこの平野部に位置し、広大な農地が発達している。
米、麦、大豆などの栽培が盛んであり、肥沃な土地が広がっている。
尚、県南西部に位置する栃木市は、県名と同名で県庁所在地でない市である。(県名と同名で県庁所在地でない市は全国3市のみ。)

那須野が原:扇状地が生んだ広大な土地
県北部には、那須塩原市から大田原市にかけて広がる那須野が原がある。
この地域は、那珂川や箒川、蛇尾川などの河川が作り出した扇状地であり、地下に豊富な水を蓄えている。
扇状地特有の「水無川」も見られ、普段は地下を流れるが、豪雨時には地表に現れる。

台地・丘陵地の広がり
関東平野の中にも、洪積世に形成された台地や丘陵が点在する。
鬼怒川地溝帯から南東へ向かって台地や丘陵が広がり、なだらかな傾斜を持つ地域となっている。
例えば、宇都宮台地や下野台地はローム層が厚く堆積し、畑作や果樹栽培に適した土地となっている。
また、渡良瀬川下流域には渡良瀬遊水地が広がるが、これは関東平野における氾濫原の一部であり、過去の洪水によって形成された低地である。

まとめ
栃木県は、北部の険しい山岳地帯と南部の広大な平野部が共存する地形を持つ。
那須岳や日光連山といった火山群が生み出す温泉や湖沼、鬼怒川や那珂川が流れる扇状地や丘陵地、関東平野北端の農業地帯など、多様な自然環境が広がっている。
また、標高差の大きい地形が生み出す気候の違いも特徴的で、山間部では冬の積雪が多く、平野部では温暖な気候が広がる。
こうした地理的特性が、栃木県の文化や産業、生活に大きな影響を与えている。

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