茨城県は首都圏に隣接しながら、山・湖・海・歴史文化が絶妙に交わる多彩な観光資源を抱えている。
日本三名瀑の袋田の滝、日本三名園の偕楽園、日本百景の霞ヶ浦や筑波山、さらには古代から続く寺社や史跡まで、名所の層の厚さは全国屈指といえる。
ここでは、茨城県の観光地を名勝や百景、百選、古社寺、温泉、現代的な観光スポットまで横断的に紹介し、地図とともに旅の設計に役立つ視点をまとめる。
茨城県の観光地・名所・名刹・百選・地図ガイド──袋田の滝・偕楽園・霞ヶ浦・筑波山・鹿島神宮・大洗・五浦海岸・水戸城。

名勝・百景・特別史跡でひも解く茨城の風景
茨城のシンボルともいえるのが袋田の滝だ。
日本二十五勝、国の名勝、日本三名瀑、日本の滝100選に選出されているおり、高さ120m、幅73mの大瀑布は四段に流れ落ちる姿が圧巻で、四季の彩りごとに異なる景観を見せる。
滝百選の人気投票で第1位を獲得したことからも、その知名度と魅力は全国レベルである。

これと並び称されるのが偕楽園であり、金沢の兼六園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園の一つだ。
特に梅の季節には100種3,000本以上の梅が咲き誇り、早春の訪れを知らせる。
上述の袋田の滝と偕楽園は、それぞれ「袋田の滝および生瀬滝」、「常盤公園」の名称で国の名勝に指定されている。

上述の袋田の滝、偕楽園以外の名勝には、桜川市の桜川(さくら)と、常陸太田市の西山御殿跡(西山荘)が選出されている。
桜川のさくらは、ソメイヨシノやヤマザクラなど約800本が植えられている丘陵地帯で、公園として整備されている。
「西の吉野、東の桜川」といわれるほどの名所であるが、日本のさくら名所には選出されていない。
桜川公園
西山荘は、江戸時代の水戸藩2代当主水戸光圀公の隠居所である。
また、霞ヶ浦と筑波山は日本百景に数えられ、県を代表する自然景観である。
霞ヶ浦は日本第2位の広さを誇る湖であり、湖面に映える夕景は関東の水郷文化を象徴している。
筑波山は男女二峰の美しい山容とともに古代信仰の山としても知られ、関東平野を一望する絶景は多くの登山者を魅了してきた。

日本三大稲荷神社には、笠間市の笠間稲荷神社が選出されている。(京都伏見稲荷を筆頭に、その他の2社に笠間稲荷、豊川稲荷、祐徳稲荷の3社が多く挙がるため、実質四大である)

特別史跡には、旧弘道館、常陸国分寺跡、常陸国分尼寺跡の3件が指定されている。
旧講道館は、水戸市の藩校で9代水戸藩主により水戸城三の丸に作られた。現在では正門、正庁、至善堂が残っている。

常陸国分寺は、真言宗浄瑠璃山東方院国分寺創建時の建物跡で、兵火により焼失した遺構である。
常陸国分尼寺跡は、上記国分寺の西北に位置し、南大門、中門、金堂などの遺構である。こちらも1590年の兵火で焼失ている。
茨城県の百選(渚、名城、滝、さくら名所)百選に名を刻む茨城の魅力
百選の分野でも茨城は豊かな顔ぶれを誇る。
袋田の滝は日本の滝百選における県内唯一の選出地であり、四季を通じて観光客を集める。
桜の名所としては、那珂市の静峰ふるさと公園と日立市のかみね公園・平和通りが日本さくら名所100選に選出され、春には花見客で賑わう。
日立市かみね公園
日本の渚百選には、北茨城市の五浦海岸、高萩市の高戸海岸、東茨城郡大洗町の大洗海岸が選出されている。
五浦海岸は大小の入江や磯、断崖があり「関東の松島」とも呼ばれる。

日本の100名城には、水戸市の水戸城、続日本100名城には、笠間市の笠間城、土浦市の土浦城がそれぞれ選出されている。


茨城県の古社寺と名湯の魅力
茨城県の温泉地としては、詩人野口雨情が生まれ育った海辺の温泉街である磯原温泉や、県北部の久慈川沿いに旅館が点在する温泉街である大子温泉が名高い。
また、寺社仏閣は、神武天皇元年に創建されたと伝わる鹿嶋市の鹿島神宮や、太平洋の荒波を受ける磯の上にある鳥居「神磯の鳥居」が著名な大洗磯前神社などがある。

茨城ならではの“その他”スポット
浄土真宗東本願寺派の霊園(墓地)の牛久浄苑内には、同派の本尊である阿弥陀如来像を象った牛久大仏が建っている。
台座を含めた高さは120mに達し、自由の女神の3倍のブロンズ製立像である。

牛久大仏と同じ牛久市にある牛久シャトーは、1903年創業のワイン醸造場でルネサンス様式の煉瓦造り2階建て本館などがヘリテージング100選に選出されている。
そのほか、春のネモフィラや秋のコキアを筆頭に、季節折々の花が楽しめるひたち海浜公園、大洗町にあるアクアワールド大洗水族館が観光地として著名である。

総括
茨城県の観光資源は、滝や湖、山といった自然景観から、古社寺や史跡、近代遺産、そして花や動物とふれあえる現代型観光施設まで、幅広いジャンルにまたがる。
袋田の滝の豪壮さと偕楽園の優美さ、霞ヶ浦と筑波山の自然美、鹿島神宮や大洗磯前神社の信仰文化、牛久大仏やひたち海浜公園の現代的観光と、旅の動線を自在に組み合わせられるのが最大の魅力である。
首都圏からの日帰り観光も可能だが、数日かけてじっくり巡ることで、茨城が持つ多層的な魅力に触れることができるだろう。

(外部リンク)茨城県のホームページ
(外部リンク)いばらき観光キャンペーン推進協議会「観光いばらき」
















