愛媛県の観光地:城、海、温泉が彩る四国の西の玄関口。日本を代表する古湯と山岳景観と渓谷美。石鎚山など名所と百選と穴場と地図
瀬戸内海と宇和海の穏やかな海に面し、山々が迫る内陸部には渓谷や高原、歴史ある城郭や温泉郷が点在する――愛媛県は、四国の北西部に位置し、自然・文化・歴史のすべてが揃った観光資源の豊富な地域である。
古代の伝説が息づく温泉や、武将たちの面影が残る城郭、さらには雄大な山岳景観や渓谷美まで、地図を片手に旅したくなる名所の数々を紹介する。
愛媛県の観光地:城、海、温泉が彩る四国の西の玄関口。日本を代表する古湯と山岳景観と渓谷美。石鎚山など名所と百選と穴場と地図

愛媛県の特別天然記念物・国指定名勝・三大〇〇・日本百景など
愛媛県には、地質学的に特異な景観として、特別天然記念物に指定された八釜の甌穴群(上浮穴郡久万高原町)が存在する。
清流が長年にわたり岩盤を削り、大小さまざまな丸い穴を形成した珍しい地形であり、科学的にも観光的にも高い価値を持つ。
甌穴の密集度は全国的に見ても非常に高く、自然の力が生んだ芸術といえる。

国の名勝に指定されているのは、菅原道真が詠んだとされる白砂青松の志島ヶ原(今治市)をはじめ、大三島(今治市)や岩屋(久万高原町)、千疋のサクラ、波止浜、八幡山(いずれも今治市)、そして渓谷美で知られる面河渓(久万高原町)など多岐にわたる。
中でも大三島はしまなみ海道最大の島で、海の青と山の緑が調和する風光明媚な観光拠点である。

「日本のスイス」とも称される四国カルスト(久万高原町)は、山口県の秋吉台、福岡県の平尾台と並ぶ日本三大カルスト台地のひとつである。
愛媛・高知両県にまたがる標高1000m級の高原地帯には放牧された牛たちがのんびりと草を食み、見渡す限りの草原が広がる。
夏には高山植物が咲き、ドライブやツーリングの名所として人気を集めている。

日本百景には、標高1982mを誇る西日本最高峰・石鎚山(西条市)と、そのふもとの面河渓が選ばれている。
石鎚山は日本百名山のひとつでもあり、修験道の霊場としても知られている。
登山ルートには鎖場も多く、初心者から上級者まで多様な登山客が訪れる。

一方の面河渓は、透明度の高い川が深く削った渓谷であり、秋には紅葉が一面を染め上げる。
渓流沿いを歩くと、大小の滝や岩が作るダイナミックな景観に魅了される。
滝百選・渚百選・名城・桜の名所でめぐる愛媛の自然と歴史
愛媛県では、日本の滝百選に石鎚山から流れ落ちる御来光の滝(久万高原町)と、宇和島市にある雪輪の滝が選出されている。
御来光の滝は、岩肌をなめるように滑り落ちる流麗な姿が印象的で、神聖な雰囲気を漂わせる。
雪輪の滝は、幾重にも層をなすような形状から名づけられ、周囲の自然と調和した清涼感あふれる景観が魅力だ。
渚百選には、今治市の桜井海岸と、愛南町の須ノ川海岸が選ばれている。
桜井海岸はしまなみ海道の一部にあたり、白い砂浜と穏やかな波が特徴の海水浴場である。
須ノ川海岸は、南予の青く澄んだ海に臨む砂浜で、キャンプやシュノーケリングなどアウトドアレジャーの拠点としても人気が高い。
桜の名所としては、松山市の城山公園が「日本さくら名所100選」に選ばれている。
ここには、現存12天守のひとつに数えられる松山城がそびえ、その周囲に約200本の桜が春の風を彩る。
城と桜のコントラストが美しく、花見シーズンには夜桜のライトアップも行われる。
城郭に関しては、愛媛県は屈指の城郭県といえる。
松山城、今治城、湯築城、大洲城、宇和島城の5つが日本の100名城に登録されている。

中でも松山城は、標高132mの勝山に築かれた連郭式平山城で、天守や門、櫓が現存し、国の重要文化財にも指定されている。

今治城は築城の名手・藤堂高虎によって海岸沿いに築かれた海城で、潮の満ち引きで水堀の風景が変化するのが特徴だ。

続日本100名城には、村上海賊の居城として知られる能島城(今治市)と、四万十川支流を望む山城・河後森城(松野町)が登録されている。

古社寺・名刹と温泉地、そして愛媛を包む風土の魅力
愛媛県といえば、誰もが思い浮かべるのが道後温泉である。
日本三古湯のひとつとされ、万葉集にも詠まれた歴史を持つ名湯だ。
道後温泉本館は明治時代の木造建築で、館内には皇室専用の湯殿「又新殿」もある。
湯船につかるだけでなく、建物そのものが文化財としての価値を備えている。
周辺には奥道後温泉もあり、森に囲まれた温泉リゾートとして人気が高い。

今治市の鈍川温泉は渓流沿いに位置し、四季折々の景観とともにゆったりと湯に浸かれる秘湯的存在である。
美肌効果が高いとされる湯質で、地元客や湯治客に長年愛されている。
絶景としては、宇和海沿岸の下灘駅が挙げられる。
無人駅のプラットフォームからは、海と空が地平線で溶け合う絶景が望め、SNSでもたびたび話題になる人気スポットである。

また、冬から春にかけては、盆地に発生した霧が肱川を通じて河口まで流れる「肱川あらし」が見られることもある。
これは愛媛ならではの風物詩であり、自然が演出する壮観な瞬間である。

信仰と祈りの空間としては、四国八十八箇所の第45番札所である岩屋寺(久万高原町)が有名である。
巨大な岩山の中腹に本堂が建てられ、断崖を背にした荘厳な風景が広がる。
近年では外国人旅行者の巡礼者も増えており、文化とスピリチュアルな体験を求めて訪れる人が後を絶たない。
四国の玄関口として、海と山が育んできた多様な表情を見せる愛媛県。
温泉に浸かり、歴史に触れ、渓谷を歩き、海を見渡す――そのすべてが日常から離れた旅の時間を深く彩る。
どこか懐かしくも新しい、そんな風景と物語がこの地には満ちている。
観光の枠を超えた「体験」が待つ場所、それが愛媛県である

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