宮崎県の海岸線は、日本の中でも特に“海と神話と地形”の三つが濃密に重なり合う地域である。
その中心が青島と青島神社、そして海岸に規則正しく並ぶ奇岩「鬼の洗濯板」だ。
白い波が浅瀬の岩盤に滑り込み、青々とした亜熱帯植物が生い茂り、朱色の社殿が海に浮かぶように建つ光景は、国内でありながら南国の離島に迷い込んだような趣がある。
だが、ここは単なる観光地ではない。
神話と信仰、海流と地質、火山と隆起、そして人々の日常が重なり合って形成された“歴史ある自然の舞台”なのである。
宮崎・青島神社と鬼の洗濯板は“南国と神話の境界線”─海岸地形と青島神社・戸崎鼻灯台・堀切峠。成り立ちと景勝を深掘りする旅

青島神社と青島──海に囲まれた信仰の島
青島は周囲1.5kmほどの小島で、海岸線をぐるりと取り囲むように「鬼の洗濯板」が続く。

島の中心に鎮座する青島神社は縁結びの社として知られ、朱塗りの拝殿と深緑の亜熱帯植物が鮮やかなコントラストを作る。
神社の境内にはビロウ樹をはじめとする南国植物が繁茂し、日本では数少ない“熱帯性植物群落”として指定を受けている。

この小さな島に神社が築かれた背景には、海と神話の関係がある。
古代よりこの海域は豊漁と航海の神が祀られ、海上信仰と縁結び信仰が混じり合っていった。
境内の奥には「元宮」があり、海と島の境界に立つと、神域が海上に広がっているかのような感覚がある。
砂浜の参道を歩きながら、潮風と海鳥の声を聞きつつ神殿へと向かう体験は、他の神社では得がたい。

鬼の洗濯板──太古の海底が表層に現れた地層の芸術
青島を囲む「鬼の洗濯板」は、宮崎を象徴する景観である。
規則正しく並ぶ板状の岩は、砂岩と泥岩の互層が波で削られ、強い部分だけが残ったものだ。

かつて海底に蓄積した地層が隆起し、現在の浅瀬となっているため、青島の海岸を歩くと“太古の海底を歩いている”ということになる。
とりわけ干潮時の景色は圧巻で、岩盤の筋が海に向かって何十メートルも延び、自然が描いた無数のストライプが広がる。

青島海水浴場から眺める洗濯板は開放感があり、海風に吹かれると地形と自然が一体化しているような不思議な気分になる。
地形愛好家ならずとも、思わず立ち止まってしまう魅力がある。

亜熱帯植物園から白浜海水浴場まで──南国気候が育んだ景観
青島周辺には、南国を感じさせる景観が多い。
青島亜熱帯植物園はその代表で、ビロウ樹、ソテツ、ハイビスカスなどが温暖な気候のもとで育つ。
植物園の裏手に続く青島温泉は、潮風を感じながら湯に浸かれる開放的な温泉地で、海辺の温泉としては九州でも屈指の存在である。

さらに南へ向かえば、白い砂浜が広がる白浜海水浴場がある。
青島海水浴場と並び、夏には県内外の旅行客でにぎわうスポットだ。
白浜の透明度は高く、太陽光が反射する海面は南国のそれである。
青島の周囲には小さな入り江が連なり、海岸線を歩くだけでも景観の変化が楽しめる。
海面に漂う塩の香りと植物の匂いが混じり合うのも宮崎らしい。

海岸線の絶景を一望──堀切峠と道の駅フェニックス
青島から少し南、海岸線の高台に位置する堀切峠は、国道220号線の絶景ポイントとして知られる。
眼下には太平洋と鬼の洗濯板が広がり、海岸線の曲線がそのまま絵画のように眺められる。

晴れた日には水平線が鋭い青となり、海と空が境界を失う瞬間がある。
この峠は江戸時代から景勝地として名高く、旅の記録にもたびたび登場する。
堀切峠からほど近い「道の駅フェニックス」は、海を見下ろす高台に位置し、観光案内と展望の両方を担う場所だ。
ここから見る鬼の洗濯板は青島周辺とは角度が異なり、岩が海へ向かって広がる様子がダイナミックに感じられる。
売店のソフトクリームを片手に風景を眺めるのもまた一興である。

鉄道でめぐる青島──JR青島駅・JR子どもの国駅・JR折生迫駅
青島周辺には鉄道駅が複数あり、旅にアクセントを与える。
JR青島駅は青島の玄関口として親しまれ、駅舎の雰囲気は素朴で海辺の町らしい。

わずか一駅隣のJR子どもの国駅は、みやざき子どものくにへのアクセス口として利用される。
遊具や広大な芝生があり、家族連れが日常的に訪れる場所だ。
さらに南下するとJR折生迫駅があり、青島周辺の海岸線散策の南端として利用できる。
観光客にはあまり知られていないが、静かで風景の美しい駅である。
列車が海岸沿いを走るため、車窓から鬼の洗濯板を眺めることもできる。
鉄道で海岸を旅するという体験が、この地域の魅力をまた一段深くしてくれる。

海と歴史の交差点──戸崎鼻灯台と城山公園(紫波洲崎城址)
青島からさらに南、戸崎鼻灯台は海岸線の突端に立つ白い灯台だ。
太平洋の荒波を受け、海霧に包まれることも多いこの場所は、海への畏敬と防災の歴史を象徴するスポットでもある。
灯台周辺の断崖から見下ろす海は深い青を呈し、波が洗濯板の岩盤を削る音が遠くまで響く。
まさに“海と陸の境界線”を目で確認できる場所だ。
戸崎鼻
一方、城山公園(紫波洲崎城址)は中世に築かれた城跡で、城郭好きには興味深いスポットである。
城跡からは周辺の海岸線を一望でき、かつてこの地が海上交通や地域支配に重要であったことを理解できる。
海と城という異なる歴史が重なることで、多層的な風景が生まれている。

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