九州南端に位置する鹿児島県は、火山と森と海が織りなす雄大な自然に恵まれた地である。
世界自然遺産の屋久島や、桜島の噴煙を望む錦江湾、霧島山の火口湖や温泉郷など、生命の息吹を肌で感じる絶景が点在している。
加えて「明治日本の産業革命遺産」の構成資産を有し、近代化の記憶を今に伝える歴史的遺構も多い。
豊かな自然と歴史、温泉と名刹、そして人情あふれる南国の風土──この記事では、鹿児島県の観光地や名所、百選に選ばれた絶景を地図とともに詳しく紹介していく。
鹿児島の名所と観光地──霧島・錦江湾・屋久島・指宿温泉・桜島。世界遺産と歴史と文化と自然と絶景を巡る南国の旅

世界遺産──屋久島と反射炉が語る自然と近代の記憶
鹿児島県には二つの世界遺産がある。
一つは、言わずと知れた世界自然遺産「屋久島」である。
九州本土の南西に浮かぶこの島は、1993年に日本初の自然遺産として登録された。
山岳地帯が全体の9割を占め、標高1936メートルの宮之浦岳を頂点に、年に何百日も雨が降る“洋上のアルプス”として知られる。
樹齢数千年とされる縄文杉をはじめとする屋久杉群は、まさに太古の森そのものであり、原始林は特別天然記念物にも指定されている。
モッチョム岳や白谷雲水峡、千尋の滝など、自然そのものが神秘と静寂に満ちた風景を見せてくれる。

もう一つの世界遺産は、2015年に登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」である。

鹿児島市にはその構成資産として旧集成館(反射炉跡、機械工場、紡績所技師館)や寺山炭窯跡、関吉の疎水溝が現存し、幕末の薩摩藩が日本の近代化に挑んだ足跡を残している。
西洋技術をいち早く取り入れた薩摩藩の先進性を今に伝える貴重な遺産であり、現地では整備された史跡公園として一般公開されている。
この二つの世界遺産は、自然と産業、生命と文明という異なる側面から鹿児島の歴史を象徴しており、「自然と人間の共生」を体現した地域文化の深さを感じさせる。
名勝・百景・天然記念物──桜島と霧島が描く雄大な地形美
鹿児島県の自然景観は、火山活動によって形づくられたダイナミックな地形に特徴がある。
まず、日本百景にも選ばれている「錦江湾」は、薩摩半島と大隅半島に囲まれた内海で、中央にはシンボルである活火山・桜島がそびえる。
桜島の噴煙と湾の青が織りなす光景は圧倒的な存在感を放ち、鹿児島市街からもその雄姿を望むことができる。
もう一つの百景「霧島山」は、県北東部に連なる火山群である。
韓国岳や高千穂峰など、神話「天孫降臨」の舞台ともいわれる峰々が連なり、山麓には硫黄の香り漂う温泉郷が点在する。
四季折々の表情を見せる霧島連山は登山者にも人気が高く、霧島錦江湾国立公園として保護されている。

特別天然記念物としては、屋久杉を中心とする屋久島の原始林のほか、蒲生の大クス(姶良市)が有名だ。
樹齢約1500年、高さ30メートル、幹回り24メートルという日本最大級のクスノキで、その生命力は圧巻である。

また、志布志市の枇榔島亜熱帯植物群落、指宿市や南大隅町のソテツ自生地、出水市のツルおよびその渡来地など、植物・動物ともに多彩な天然記念物が存在する。
さらに、国指定の名勝としては薩摩半島南西の古港「防津(ぼうのつ)」があり、江戸時代の貿易や遣唐使航路の拠点として栄えた歴史を今に伝える。

百選に選ばれた鹿児島の名所──海と滝と桜の絶景めぐり
鹿児島県は、「日本の百選」に数多くの景勝地が選ばれている。
まず、日本の渚百選には薩摩半島西岸の吹上浜と、奄美大島の大浜海浜公園が選ばれている。
吹上浜は長さ47キロに及ぶ日本一の砂浜で、水平線に沈む夕日の美しさから「日本三大砂丘」にも数えられる。
一方、大浜海浜公園は奄美の碧い海と白い砂浜が広がり、ウミガメの産卵地としても知られている。
滝百選には屋久島町の大川の滝と、姶良市の竜門滝が選出されている。
大川の滝は落差88メートルを誇る南九州最大級の滝で、豪快に流れ落ちる姿は「日本の滝の王者」と称される。
竜門滝は幅40メートル、高さ46メートルの二段滝で、春には桜、夏には新緑、秋には紅葉が水面に映る名勝だ。

また、伊佐市の曾木の滝は「東洋のナイアガラ」と呼ばれる名瀑で、滝百選には含まれないものの、観光地としての人気は高い。

日本百名城には、薩摩藩の居城であった鹿児島城(別名・鶴丸城)が選ばれ、続日本百名城には志布志城(志布志市)と知覧城(南九州市)が指定されている。

知覧城は薩摩藩の外城の一つで、周辺には知覧特攻平和会館や武家屋敷群が保存され、歴史観光の要地となっている。

桜の名所としては、伊佐市の忠元公園が「日本さくら名所100選」に選ばれている。
園内には約1200本の桜が植えられ、春には桜のトンネルが約2キロにわたって続く。
夜にはライトアップされ、幻想的な風景を生み出す。
名刹と温泉──霧島神宮と指宿温泉に宿る南国の祈りと癒し
鹿児島県は大分県に次ぐ全国第2位の源泉数を誇る温泉県である。
中でも霧島温泉郷、指宿温泉、妙見温泉などは全国的に名高い。
霧島温泉は霧島山の山腹に湧く硫黄泉で、「天孫降臨」の伝説を伝える霧島神宮とともに訪れる人が多い。
霧島神宮は社殿の朱色と深い森の緑が対照的で、神々しい雰囲気を放つ古社である。

薩摩半島南端の指宿温泉は、砂浜に身体を埋める「砂むし温泉」で知られ、海を望む絶景の温泉街だ。
近くには長崎鼻、開聞岳、池田湖、干潮時だけに渡れる知林ヶ島など、自然の造形美に満ちた観光地が点在している。

池田湖には伝説の巨大生物「イッシー」が棲むともいわれ、神秘的な人気スポットとなっている。

また、出水市の箱崎八幡神社や、南九州市の枚聞神社(開聞岳の神を祀る)など、歴史ある神社も多く、南九州独自の信仰文化が今も息づいている。
その他の見どころ──桜島・奄美・歴史文化の融合
鹿児島といえば、やはり桜島である。
活発な火山活動を続ける桜島は市街地からわずか4キロの位置にあり、火山と共に生きる人々の生活そのものが観光資源になっている。
フェリーで15分という近さで行ける島には展望所や足湯、溶岩原を歩く遊歩道が整備されており、自然と人間の共存を肌で感じられる。

奄美大島や徳之島などの離島も魅力的だ。
亜熱帯の森、透明度の高い海、希少な動植物が生息する生態系は「奄美・琉球」世界自然遺産としても高く評価されている。
黒糖焼酎や島唄など、独自の文化も観光客を惹きつけてやまない。
また、薩摩藩の歴史を語るなら、西郷隆盛ゆかりの地を外せない。
城山や南洲神社、西郷南洲顕彰館では明治維新の激動期を偲ぶことができる。

このように鹿児島県は、火山と森、温泉と信仰、そして人の営みが一体となった“生きている大地”である。
訪れる者はきっと、南国の熱と静寂、その両方に心を奪われるだろう。

English page(Kagoshima prefecture. Map of sightseeing spots)
(外部リンク)鹿児島県のホームページ
(外部リンク)鹿児島県観光サイト/かごしまの旅

















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